ゴルフボール 飛距離のカラクリ

ゴルフボールの飛距離は、なぜ伸び続けるのか?

ゴルフボールの規格にあるように、ゴルフボールには非常に厳しいルールが存在します。

そのルールをクリアしたボールだけが、製品として発売されるのですが、では、なぜ、次々と新しいボールが発売され、キャッチコピーには「飛距離アップ」の謳い文句が使われるのでしょうか?

ゴルファーにとって飛距離を伸ばすことは永遠のテーマです。

ここでは、ゴルフボールの飛距離アップ、そのカラクリに迫ってみましょう。

 

飛ばない原因は、ゴルフボールの性質を理解していないからです。

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ゴルフボール 飛距離の三要素

ゴルフボールの飛距離には、大きく三つの要素が関係しています。

この三要素をうまく利用することで、ゴルフボールの飛距離は伸びていっているのです。

初速
クラブヘッドで捕らえられたボールはヘッドスピードに応じて変型し、その歪みを元に戻そうと反発する力で飛び出します。

インパクト時のヘッドスピードが速いほど、ボールの反発力が大きいほど飛び出しの速度(初速)は速くなります。

当然、硬いボールであればあるほど、反発力が大きくなり、初速は速くなります。

しかし、硬いボールをつぶす力(ヘッドスピード)がなければ、逆に飛距離は落ちることでしょう。

自分のヘッドスピードにあったボール選びが必要です。

プロと同じボールを使っても、飛距離が伸びるわけではないということを認識する必要があります。

打ち出し角
ボールが打ち出される角度はクラブの番手(ロフト)とスイング軌道で決まります。

また、ボールの種類や特性によっても差が出ます。

スピン
空中に打ち出されたボールは飛ぶ方向と逆方向に回転(バックスピン)しながら飛んでいきます。

この回転とディンプルの働きによって空気抵抗を減らしながら、ボールは上へと持ち上げられ飛距離を伸ばします。

飛距離が伸びるからくり 初速

ルール限度一杯の初速や飛距離を実現したボールの発売後、なぜ、さらに「飛距離」がアップしたボールが発売されるのか?

「反発力(初速)や飛距離がアップ」したのなら、当然、その次に発売されるボールは規定を超えてしまうのではないでしょうか。

なぜ、ルール違反にならないのか?

その「からくり」は、実は、ゴルフボールのテスト方法にあるのです。

ボールの初速を計測する場合、計測機械の速度は43.9m/sですが、 その速度で打った時に初速が77.7m(実質)以上の速度になってはいけないとされています。

一方、総合的な飛距離の計測では、ヘッドスピードは53.6m/sで打ち、317.0(+3%)ヤード以上飛んではならないとなっています。

実は、この2つのテスト法に大きな違いがあるのです。

初速のテストでは、実際にクラブでボールを打つのではなく、専用の機械を使っておこなわれています。

この機械は、回転するドラムから、テスト条件の速度になると棒のような突起が飛び出し、その突起でボールを打つのですが、このドラムは非常に重い為、ボールを打ち出した反動で速度が落ちることはありません。

一方、飛距離のテストは、クラブによる実打試験でおこなわれる為、当然、インパクトの瞬間、ボールとの衝撃によりヘッドスピードは減速することにななります。

ゴルボールの飛距離は初速に大きく左右されます。

この挙動の違いによって、ボールが潰れ反発する力が異なり、打ち出し速度も大きく変わるのです。

反発力が大きいほど、当然、初速は早くなります。

通常ヘッドスピードとボール初速は1.5倍弱が最高によいインパクトだといわれますが、、
初速テストの場合、ヘッドスピードが43.9m/sの為、初速が77.7m/sだと1.77、76.2m/sとしても1.75倍という、通常、あり得ない最高のインパクトになっています。

つまり、この初速テストは、通常のクラブヘッドでボールを打ったときの初速とは必ずしも一致していなのです。

たとえば非常に柔らかいボールでは、巨大なドラムの回転によって打ち出されると極端に変形し、反発効率が非常に悪くなりますが、そのボールが飛ばないかというと、そうではありません。

そのボールでも、非力な女性などが低ヘッドスピードで打つと、逆に、非常に反発性がよくなります。

このような特性を生かすことができれば、使用する人によっては、ルールに適合して、しかも、初速が速いボール、イコール飛距離が伸びるゴルフボールができることになります。

飛距離が伸びるからくり 飛距離性能

ゴルフボールの実打試験ですが、それにも抜け穴あります。

均一性を高めることで、ゴルフボールの飛距離をアップすることが可能となります。

たとえば±10ヤードのバラツキがあるボールは、飛距離の上限から10ヤード手前で止まる性能にしておかないと、上限を越えるボールになる危険があります。

しかし、精度上げることで、バラツキが±5ヤードであれば、上限をマイナス5ヤード抑えることができます。

こうすることで5ヤード飛ぶゴルフボールを作ることができるのです。

最近流行りの「高打ち出し・低スピン」弾道も影響するでしょう。

10度よりも高い打ち出し角で、本来の飛距離性能が出るゴルフボールを作れば、

非常に高い打ち出し角で非常に低スピンのボールを作ることが可能です。

これを10度で打ち出した場合、早く地面に着いて、距離をロスすることになると思われますが、ロボットテストの結果では20度程度の打ち出し角のほうが、もっとも飛距離がでるという報告もあります。

ゴルファーが20度程度で打ちだせば、実験との結果はもっと差が開くことになると思います。

しかし、USGAも手をこまねいているわけではありません。

室内テストで打ち出し角、スピン量などを変えたときの飛距離をシミュレートとして、将来、テスト条件を変える可能性はあります。

今回総合飛距離のテスト条件を変えたのも、その第一弾なのかもしれない。

いずれにせよゴルフ規則の制限は、限られた速度、弾道、気温等の条件下での速度、距離に限られます。

それをクリアしながら実際のゴルファーが打てば飛ぶボールの開発は今後もまだまだ続くのではないでしょうか。