ディンプルのはじまり

昔のゴルフボール(ガッティボール)にはディンプルがありませんでした。

しかし、長く使ったゴルフボールのほうが、表面が傷つき遠くに飛ぶことに気付いたゴルファーは、最初からボールの表面に傷をつけるようになりました。

はじめは、ただ筋を入れていたのが縦横に筋をいれてメッシュ模様となり、さらには凹凸をつけるようになっていきました。

これが、ディンプルのはじまりです。

ディンプルと弾道

ディンプルとゴルフボールの弾道には密接な関係があります。

ディンプルが大きく、深く、数が多いほど弾道は低くなる傾向にあります。

また、ディンプルのパターンには、8面対、12面対、20面対など様々種類があります。

ブランケル

ガッティボールは、ゴルフボールの樹脂を二つの型に流し込み、二つに挟んで形を整えます。

その際、ゴルフボールに凹をつけるには、型に凸をつける必要があり、技術的に難しいものがありました。

当初、ゴルフボールには、ディンプルではなく、突起をつけており、糸巻きボールの原型であるハスケルボールも突起つきです。

この突起をブランケルといいます。

飛距離とディンプルの関係

ゴルフボールはディンプルによって浮力が発生しますが、その浮力が飛距離に大きく関係します。

しかし、ディンプルの一番大きな役割は、ゴルフボールと空気の剥離を抑えることで、空気抵抗を減らし、速度の低下を減らすことなのです。

ゴルフボールが飛ぶ時には、ボールの後ろには、空気の剥離により渦ができ、それがゴルフボールを引っ張る力となり、飛距離にブレーキを掛けます。

この空気の剥離をディンプルによって抑えることにより、後ろに引っ張る力が弱くなり、ゴルフボールの飛距離が伸びるのです。

六角ディンプル

ディンプルで最も重要なことは「専有面積率」と「体積比率」になります。

専有面積とはボール表面の中でディンプルがどのくらいの面積を占めるかということです。

この比率が大きいと弾道は低くなる傾向がありますが、
専有面積比率は従来70~80%が標準とされていました。

この比率は、当時の技術(CAD/CAM導入以前)では高い専有率だったようですが、キャロウェイの新型ディンプルがそれを大きく上回りました。

それまでのディンプルは円形だったので、ディンプル同士の間には平面の「峰」ができてしまいます。

この「峰」ができることによって、専有率には限界がありました。

ところがキャロウェイは最初に出した「ルール35」では、六角形と五角形のディンプルを組み合わせることにより、
なんと85%という高い専有面積比率を実現したのです。

キャロウェイの六角形のディンプル「E・R・C
」は「ディンプル専有面積率」を高めるために、非常に効果的だったのです。

ディンプルは336個だった

1970年代頃まではゴルフボールの多くがの336個のディンプルで構成されていました。

しかし、なぜ336個だったか明確な理由はみつかりません。

本当は、除夜の鐘(百八つ)のように、何か特別な意味があったのでしょうか?

また、当時、336個のディンプルは、8面体で配列されていたそうです。